1979年(昭和54年)の化粧品会社CMソング戦争は戦国時代に突入する
それまでは資生堂とカネボウの一騎打ちの様相だったが
1979年には「POLA」「コーセー」が参入し四つ巴の戦いになる
POLAは新人の桑江知子が歌う「私のハートはストップモーション」を起用し
コーセーはオフコースの「リリカル・リップ」を起用した
まさに化粧品会社戦国時代花盛りで各化粧品会社の
美容部員のオネエサンたちは憧れの存在になった
と、いう事で今回は1979年(昭和54年)の両社のCMを思い出してみたい
<資生堂>
・春のキャンペーン
キャッチコピー 「劇的な、劇的な春です。レッド」
モデル カトリオナ・マッコール
・夏のキャンペーン
キャッチコピー 「ナツコの夏」
タイアップ曲 燃えろいい女 楽曲提供 ツイスト
モデル 野みゆき
・秋のキャンペーン
キャッチコピー 「微笑みの法則」
タイアップ曲 微笑みの法則
楽曲提携 柳ジョージ&レイニーウッド モデル 星野真弓
・冬のキャンペーン
キャッチコピー 「あざやかに生きて」
タイアップ曲 あざやかに生きて 楽曲提携 田島裕子
モデル 麻田紘子、叶和貴子
春のキャンペーン 「劇的な、劇的な春です。レッド」
モデル カトリオナ・マッコール
四つ巴のCM戦争になった1979年に、ちょっと違った路線をとった資生堂
何と同社は音楽戦争の舞台からいったん降りてしまうのである
その代わりに東宝の実写映画「ベルサイユのばら」とタイアップ
「劇的な、劇的な、春です。レッド」とコピーを打った が映画興行は惨敗
資生堂のCMキャンペーンも共倒れとなった
確かに当時「ベルサイユのばら」は漫画・アニメ・宝塚とも大ヒットしたが
実写映画には無理があったという事だろう
当然僕もベルばらには、まったく興味がなく このCMにも思い入れはない 笑!
夏のキャンペーン 「ナツコの夏」
タイアップ曲 燃えろいい女 アーティスト ツイスト
春のキャンペーンで映画「ベルサイユのばら」とのタイアップが不発に終わり
カネボウに敗北した資生堂は再びCMソングで戦いに挑んだ
春の宣伝方針の反省からか夏はベタな大衆路線まっしぐら
春の宣伝方針の反省からか夏はベタな大衆路線まっしぐら
過去の成功例「ダウン・タウン・ブギウギバンド~矢沢永吉」の流れを受け継ぐ
「ちょいワルな夏の女+ロック」という戦略で白羽の矢が立ったのが「ツイスト」だった
世良公則さん率いるツイストは当時「チャー」「原田真二」と並び
ロック御三家と言われていたが歌詞の内容が演歌の匂いがするロックバンドだった
当時高校1年だった僕はこの「燃えろいい女」はいい曲だと思った
この曲を聴くと、あの熱かった高1の夏が強烈に蘇って来る
秋のキャンペーン 「微笑みの法則」
タイアップ曲 微笑みの法則 アーティスト 柳ジョージ&レイニーウッド
1979年秋、資生堂のCM曲は夏に引き続きロック路線の柳ジョージ&レイニーウッドの
「微笑の法則」を起用し、同曲はシングルチャート年間45位になるなど健闘した
しかし後述するが、この年の秋の陣は完全にカネボウに完敗した
個人的にも夏のツイストは好きなロックバンドだったが
なぜか僕は柳ジョージ&レイニーウッドにはさほど興味がなかった
だから、このCMを見てもピンと来ない 笑!
冬のキャンペーン 「あざやかに生きて」
タイアップ曲 あざやかに生きて アーティスト 田島裕子
前年の冬のキャンペーンで資生堂は南こうせつさんの「夢一夜」を起用し
竹久夢二の世界観を表現し話題になった
1979年冬は田島裕子さんの「あざやかに生きて」を起用し
静けさを表現したが何のインパクトも持たなかった
と、いう事で1979年の資生堂は夏の「ナツコの夏」で起用された
ツイストの「燃えろいい女」以外は個人的には駄作に終わったような気がする
<カネボウ>
・春のキャンペーン
キャッチコピー 「君は薔薇より美しい」
タイアップ曲 君は薔薇より美しい
楽曲提携 布施明 モデル オリビア・ハッセー
・夏のキャンペーン
キャッチコピー 「一気にこの夏チャンピオン」
タイアップ曲 サマー・チャンピオン 楽曲提供 セルジオメンデスとブラジル'88+浅野ゆう子
モデル 浅野ゆう子
・秋のキャンペーン
キャッチコピー 「セクシャル・バイオレットNo.1」
タイアップ曲 セクシャル・バイオレットNo.1
楽曲提携 桑名正博 モデル エマ・サムス
・冬のキャンペーン
キャッチコピー 「天然の感触・水で洗える・10分パック」
タイアップ曲 君はどこまで美しくなるのか
楽曲提携 因幡晃 モデル エマ・サムス
春のキャンペーン 「君は薔薇より美しい」
タイアップ曲 君は薔薇より美しい アーティスト 布施明
「劇的な、劇的な、春です。レッド」とコピーを打った資生堂は映画興行の
惨敗に伴いCMキャンペーンも共倒れとなった
それに対しコスメ界の一方の雄カネボウは英国の女優
「オリビア・ハッセー」をCMタレントに起用
資生堂のベルばらに対抗して挑発的にも布施明に「君は薔薇より美しい」を歌わせ
「バラにはバラで」真っ向勝負に出たのであった
結果は、カネボウの大勝利
カネボウ側は、してやったり、の気分だったに違いない
勝手に資生堂がコケてくれて、しかも相手の
「ばらブーム」にうまく便乗できたのである
ちなみに「君は薔薇より美しい」は布施明さんの代表曲になり
このCMで知り合ったオリビア・ハッセーさんと結婚に至った
夏のキャンペーン 「一気にこの夏チャンピオン」
タイアップ曲 「サマー・チャンピオン」
アーティスト 「セルジオメンデスとブラジル'88+浅野ゆう子」
1979年夏、カネボウは「一気にこの夏チャンピオン」のキャッチコピーで
CMモデルに浅野ゆう子さんを起用
CMソングにも浅野自身が歌う「サマーチャンピオン」が使われたがカネボウの広告で
話題になったのは意外だが、このCMで初めて水着を披露した
浅野ゆう子さんの日本人離れしたプロポーションの事ばかりだった
実は前年夏の「Mr.サマータイム」での服部まこ、その前の77年の夏目雅子と
カネボウ夏のCMは話題の女優に大胆な水着というのが定番になっていた
この年の夏も、お目当は18歳の浅野ゆう子のセクシーなビジュアルであって
歌は二の次だった観がある 笑!
ちなみにCMの中に流れている男二人のナレーションは
若き日のツービートのビートたけし、きよし両人だ
秋のキャンペーン 「セクシャル・バイオレットNo.1」
タイアップ曲 セクシャル・バイオレットNo.1 アーティスト 桑名正博
1979年の秋は桑名正博さんの歌うカネボウCMソング
「セクシャルバイオレットNo.1」でバイオレット一色に染まった
この曲の注目すべきは「詞:松本隆/曲:筒美京平」のゴールデンコンビと
その背後にいた仕掛人の活躍である
筒美の曲を歌ったことで「桑名は歌謡曲の側に取り込まれたのか」と訝るむきもあったが
CMオンエア後の反響はすさまじくオリコン1位を獲得
更にはシングル売上は年間56万枚を記録し
夏の資生堂CMソング「燃えろいい女」の41万枚をしのいだ
こうして1977年秋に麻薬取締法違反で逮捕され懲役2年執行猶予3年の
有罪判決を受けた桑名さんは完全復活を遂げたのだった
こうして1979年年秋キャンペーンで、カネボウは初めて資生堂に化粧品の売上で勝ったとされる
万年2位といわれたカネボウが資生堂と肩を並べるにまで勢いづいたのであるだ
と、いう事で、いよいよ時代は両者拮抗の80年代へ突入するのであった
ジャンジャン!!