4月25日月曜日 天気 晴れ
夜の帳がまだ明けやらぬ3つ半時(午前3時半)某(それがし)は愛馬を走らせ戦場に向かった
暦の上では卯月(4月)も終わろうとしている、そろそろ真鯛家とも決着を付けたいところでござる
2週間前の決戦では桜鯛の季節だというのに敵は姿を見せなかった
某の今までの経験では早瀬の戦場の本命潮は干潮から満ち上りでの潮変わり時に流れる事が多い
しかも前回タコ壺漁師さんから聞いた話では早瀬の潮は呉湾より30分程早いという事だった
だから某が呉の潮見表を見て戦場に行った時には下げ潮の時間帯のはずが
すでに満ち潮が流れていたのか・・・
と、言う事で今回の戦は早駈けをして敵の出鼻を狙おうと思ったのでござる
某の読みは当たった
案の定、呉の潮止まりである時間の30分前に戦場は満ち潮が流れ出した
時合を逃すまいと某は前の晩に撒き餌と仕掛けも作っておいた
昨今老眼が進んだ某は暗い中で仕掛けを作るのに手間取るのだ 笑!
まず最初に某に討ち掛かって来たのは紛れもなく赤い甲冑に身を包んだ真鯛家の武士だった
型は塩焼きにするにはちょうどいい足の裏サイズの真鯛家だが本命の登場に安堵する某
しかし例の如く沖に出る本命潮は長く続かない
そのうち潮は左寄りになり能美方面へと流れを変えた
ー この潮はメバル家や他家、それにチヌ家がよく出る潮じゃが・・・
案の定、某の竿を曲げるのはメバル家や海タナゴ家、ギザミ家の雑魚ばかりだ
そうこうしてると鯛一族らしい頭を振る感触が手に伝わる
ー おそらく”黒”じゃろうの~・・・
海面に姿を見せたのはやはり黒い甲冑に身を包んだチヌ家の中堅武士だった
タコ壺漁師さんに会ったらあげようと思い某は敵を獄に繋いだ
手返しを繰り返し道糸を張ったり緩めたりして誘いを掛けてた某の道糸が走る、アタリだ!
合わせを入れると乗った手応えが伝わる、間違いなく鯛一族だ
ー 潮の流れる方角からしておそらく黒じゃろうの~・・・
”黒”だと勝手に決めつけてた某は余裕をこいて竿の曲りなどを撮影してた 笑!
所が敵は反転して強い絞め込みを見せ沖に逃げようとし始めた
その引きはとてもじゃないが片手で竿が操作できるレベルじゃない
昨年の今頃某は自己記録となる52cmのチヌ家を討ち取った
しかし奴も某の両手を使わす程の引きではなかった
レバーブレーキを駆使しながら竿でタメるがリールが巻けない
某は目一杯竿の弾力でタメて、しゃがみ込んだ分だけ道糸を巻き取る
無理は出来ない、道糸、ハリス共1・5号の細仕掛けなのだ
ー こりゃ去年の52cmの非じゃないで、もしかしたら60cm近い大物チヌか・・・?
時間をかけて丁寧にやり取りしてるうちにウキが見えてきた、もう少しじゃ焦るな某・・・ 笑!
そう思った次の瞬間に海中に敵の姿が見えた
デカイ! しかも色が赤い
ー こりゃチヌじゃない、本命の真鯛じゃ! しかもデカイで!!
魚体が見えてからはさすがに写真を撮るような余裕がなかった 笑!
タモに何とか収まった真鯛家の武士は威風堂々の大物だ
タモを持つ手がズシリと重い
敵を手中にした某は勝ちどき上げた
「やった~~ 敵の大将討ち取ったり~ エイエイオー!!」 笑!
どうよ!この魚体!!
すぐさま某はメジャーを取り出し討ち取った敵を検寸する
ジャスト63cm
某のこれまでの真鯛家の最長寸は50cmだったから記録を13㎝も上回った
しかもその50cmは四国宇和海でのグレ家狙いの戦の時にグレの喰いがシブイので
タナを入れて真鯛家狙いに切り替えた時の記録だった
云わば外海でのグレ家狙いの外道に近い形で釣り上げた物だった
しかし今回は呉近郊の内海で真鯛家をフカセで狙って釣り上げた物だ
個人的には価値が全然違う
ちょうどその時に例のタコ壺漁師さんが現われた
タモに収まった真鯛家の武士を見るなり
「やったじゃんか! あんた執念じゃのぉ~ 大したもんじゃ!」
タコ壺漁師さんに獄に繋いでおいたチヌ家の武士をあげると今回もマダコを下さった
ありがたい事でござる!
初めて地元で狙って釣った真鯛家の大物に喜んだ某だったが某はこんな事を考えていた
真鯛は大きくなれば1m近くにもなる魚だ
某の私感では真鯛の90cm級がチヌの60cm級だと思う
80cm級の真鯛がチヌの55cm、70cm級の真鯛がチヌの50cm
だから60cm級の真鯛はチヌで言えば45cm級くらいだと思うのだ
チヌ釣りの初心者なら45cm級のチヌを仕留めれば嬉しいだろうが
某は45cmのチヌを今更釣ったとしても嬉しくない事はないが感動はない
地の波止や磯でフカセで狙うには圧倒的にチヌ狙いの方が確率は高い
呉近海の波止や地磯からフカセで真鯛を狙うのは遠浅の多い呉近海では場所が限られる
真鯛は条件的に沖に深みがあり、その深みに向いて潮が流れ
更には潮通しがいい場所でなければ望みは”0”に近い
対してチヌは呉湾内でも、どこにでもいる
だから今回の63cmの真鯛と45cmのチヌを同等と扱うのは些か乱暴でもあるとも思う
船釣りやボートフィッシング、更には投げ釣りなら大型真鯛と出会う確率は高いだろうが・・・
しかし真鯛の特徴がそうである以上、某は63cmで決して満足してはならないのだ! 笑!
今回の尾崎家へのお土産
真鯛×4、海タナゴ×2、カサゴ、ギザミ、メバル×3、マダコ
と、言う事だったがさすがに尾崎奥さんも63cmの真鯛は躊躇された 笑!
「こんなに大きいの無理、捌く事も出来んし・・・」
と、言う事で大物真鯛は友人の調理師にシゴウをお願いした
今回の真鯛は某にとって魚種を問わねば今まで打ち取った魚の最長寸でござる
しかし某は四国宇和海で58cmの尾長グレを道糸・ハリス共3号で討ち取った事がある
魚寸だけで言うと今回の真鯛の方が5㎝も大きいが
魚の引きの力は比べ物にならないくらいグレの方が強かった
聞く所によると真鯛家も80cmクラスになると引きも強烈だという事だ
是非その引き味を味わってみたいですな~
しかし何はともあれ今年の目標だった真鯛家の自己記録更新はクリア出来た
されど人間は欲深い物だ、一つの目標をクリアしたら次の目標が出来る
次は70cmオーバーの真鯛と55cmオーバーのチヌが目標だが
その前にゴルフの80台を出さないといけませんな~ 笑! ジャンジャン!!