現代において2サイクルという構造のエンジンは、時代に逆行した もはや化石とも言えるが
視点を変えると現代のバイクでは味わえない独特の乗り味が楽しめるという事も言える
KAWASAKI SS750 MACHⅢ H2 は、1971年に登場したが当時世界最速のバイクだった
空冷2サイクル3気筒750ccというエンジンは世界を探しても唯一無二のエンジン設計だ
そんな超個性的な心臓を持つH2だが現代のバイクにはあり得ないような音や
5000回転辺りからの強烈なパワーバンド域での暴力的な加速力は
H2の個性であり最大の魅力と言える
フル加速した時の脳に響く甲高いエキゾースト音と
バックミラーに映る白煙の世界と焼けたオイルの香り・・・
まさに日本の1970年代の香りを強烈に感じさせるマシーンだと思う
しかしH2に限らずマッハは常に激しい振動に晒されているから各所のネジがよく緩む
大きく揺れるバーチカルツインの「それ」とは違う小刻みに震える電動バイブ(笑)のような振動だ
僕は昨年秋のツーリングでスイングアームを止める大きなフォークピボットボルトが緩むという
これまでの35年余のバイク人生で初めての経験をして驚いた 笑!
と、言う事だが、先日ふとマッハちゃんを見ると何と左サイドカバーを止めるノブがない
このサイドカバーを止めるノブはよく緩む部分なのだが他の個体はどうかわからないが
僕の場合なぜかオイルタンクがある右側がよく緩むのだ
と、言う事で信号待ちの時にちょくちょく緩みのチェックするのだが左側がなくなってるとは・・・
間違いなく走行中に落下したんでしょうな~
いや~ それにしてもサイドカバーが落下しなかったのは不幸中の幸いですぞ
ノブ紛失に気付いて汎用ネジで仮止めしておいたが
サイドカバー紛失や傷物にでもなってたら福澤諭吉さんがどれくらいかかったか・・・ 笑!
しかしまあこんな事は序の口だ
「マッハ虎の穴」のサイト「マッハⅢへっぽこトラブル捕物帖」には
世にも恐ろしい体験談が掲載されている
<ケース 1 ぺっちゃんこ>
あれはトリプルミーティングの帰りやったと。
珍しく天気も~さあ良かったきにちょっと飛ばして帰ろうかにいとおもいよったんよ~。
したらみーんなお馬式にトバすでねーの。
コリャまきらりんちゃでアクセル全開でいったと。
きもちんよか日やったとね~。
したら急にボンって音がして マフラーの音がバラバラバンバンいい始めたと~。
こりゃやっちまったっちゃ~って 路肩に寄ったら みーんなして探してくれたっちゃ。
バッフルチューブぞ。 バッフルがぶっとんだっち!
したら 見つけてくれたチューブはトラックに轢かれてぺっちゃんこやったき~。
まっこと とほほ…やったき すかんちゃ~。
(傾向と対策)
これは 正統派のマッハへっぽこトラブルですね。 よく聞かれます。
マフラーからオイルだけでなく バッフルチューブも飛び出すとは さすがマッハですね。
バッフルを留めているねじが緩みやすいんで 時々はチェックしましょうね。
<ケース 2 手裏剣>
トリプルミーティングの帰路には 魔物が棲むとかいわれちょったけんど~。
ホンマにその通りじゃけん みんな気つけた方がいいけんね~。
行きは楽しゅう走っていってよかったけんの~。
まあ帰りも楽勝よ~って大阪隊の護衛と離れた後も気持ちよ~く はしっちょったんよ。
ほいだらまずは青切符っしょ 、次はバッテリー上がりっしょ…。
ここまでは何とかなったんよね。 しかし次はどうしょーもなかったんよ。
バッテリーもなんとかなったなーって 走っとったら 急にアイドリング状態になって…
一瞬ギアー抜けか~って思ったら シフトアップしても アクセルふかしても 前に進まなくなって…。
ひえ~と慌てて路肩に寄せたわいな~。
ほいだらフロントスプロケのチェーンが外れているでないの~
んで入れようとしてもナンボやっても入らんのじゃ~。
おかしいのーってスプロケカバーを外してビックリ!
フロントスプロケが無い~!!
慌ててスプロケを探したわなぁ。 そしたら あったあった!
なんと 赤土の壁にフロントスプロケがドカッと刺さっておるではないか~!
100キロぐらい出とったけん まるで手裏剣のごたあるよ~。
めでたくスプロケは戻ったものの ナットの方が無い~!
そうこうゆうてる間に 高速道路公団のオッちゃんにみつかってしもうて
トラックの後ろに乗せられてドナドナじゃけん・・。
トリプルスの帰りはやっぱり魔物が棲むよ~。
(傾向と対策)
これも決して希ではないトラブルですね。
これまでに4件聞いてますが 不思議なことに
誰もチェーンが後輪周りに絡まって転倒したりしていません。
いきなりニュートラルに入ったみたいになって アクセル吹かしても
トラクションが懸らないのでビックリするみたいです。
対策としては 時々スプロケカバーを外して 点検、増し締めをするしかないようです。
<ケース 3 エンジン落とし>
これは我らがH2Cに関するお話し。気分転換に適当にバイクを走らせていました。
国道2号線と175号線が交わる交差点を右折のため
対向車線の車が空くのを待っていざ右折しようとしたその時
乗車感覚が今まで経験したことのないものに変わったことに気がつきました。
不安を感じ交差点を右折してすぐにバイクを路肩に停車させ、バイクを観察して驚きました。
エンジンがフレームから外れています。
エンジンをマウントするためのボルトが折れ
エンジンをフレームに吊るためのステーも折れていました。
幸い交差点でスピードの出ていない状態だったからよかったものの
もしフル加速中の出来事だったらと思うと背筋が寒くなりました…。
こんなへっぽこがあっていいのか!!
(傾向と対策)
なんでこんなへっぽこな事になるのか? 振動による金属疲労? 錆びの浸食による金属強度の劣化?
いやいや、いくら金属強度が劣化したとはいえ 直接の原因はこのバイクがもつ振動が原因なんでしょう。
「当時、高速を高回転で走らせるおりにはハンドルを握る手は電気に感電しているような感じがあった。
常にこんな振動にさらされていては ボルトもステーも破断して何の不思議もない。
人間(ライダー)が破断しないのが不思議だ。」
と彼は振り返ります。
振動が多いのはエンジン不調が原因であるのかもしれませんが それだけではありますまい。
ステーは標準品の厚みの1.5倍の鉄板を削りだして作ったそうです。
いや~ 恐ろしいですね~ 笑!
僕が落としたサイドカバーノブ&グロメットなんてまだ序の口ですよね~
僕もバッフルは抜けかかってた事はあるし、白煙会メンバーのコニタンのH2は
実際に走行中に吹き矢のようにバッフルが抜けて飛んでいった
しかしバッフル抜けでも十両クラスで三役クラスになると走行中にスプロケットが飛んでいく
横綱になるとエンジンが落ちる・・・
そんなバイクってマッハ意外に聞いた事ないぞ! 爆!
てか、笑い事では済まされませんぞ! バイクは命がかかってますからね~ 笑!
しかしマッハ愛好者は、なぜこんなリスクを負ってまでマッハに乗るのか?
熱心なマッハマニアは個性的な人が多い・・・てか、有体に言えば変態が多いんです
変態故にマッハに関しては鬼のように詳しいけど一歩間違えたら「オタク」なんですよ
オタクだからオタク同志横の繋がりも濃いけど、濃い故に仲間同士のトラブルもよくあるそうです
まあ僕等の呉白煙会ではそんなトラブルはないですけどね
マッハに乗る理由・・・
それこそ本文冒頭の「唯一無二の乗り味」って事に集約されるんだと思います
と、言う事で落としたサイドカバーノブとグロメットはマッハ乗りの総本山
東京八王子の「ガレージ310」の斉藤さんに送ってもらいました
少しでも緩み防止になるようにネジの緩め止めを塗付して取り付けました
まあそれでも「これで安心」とはならないのがマッハです
時々各所のネジの増し締めをしたり、走行中にノブが緩んでないかチェックする事はお約束儀式ですね
全国のマッハ乗りの皆さんも充分ご注意下さいね!
そして、これからマッハ虎の穴に足を踏み入れようとしてる方は心して来て下さい! 笑!
と、言う事で今日はこれまで! ジャンジャン!!