ツーリング二日目
まず僕たちが目指したのは鳥取県東伯郡湯梨浜町にある
旧車専門店の「フラット商会」というバイク屋さんでした
冒頭の写真の人がオーナーの長石康彦氏
実はカツジが所有するカワサキ650W1SAを十数年前に
フルレストアしたのが、フラット商会の長石氏だったんですよね
そんなW1SAが当時のオーナーから2オーナー目でカツジの所に嫁いできた
そんな縁もあり、カツジは一度フラット商会を尋ねてみたいと前から言っていた
前以って連絡してた訳でもなかったから電話してみて
了承を得られたら尋ねてみようという事になった
で、当日電話を入れると是非来てくださいと快く招いて下さった
長石氏はバイクの整備を生業にして40年経ったとおしゃっていた
旧車が旧車になる前からバイクの整備に関わってきた大ベテランだ
当時のバイク事情から、現在の旧車ブームに至るまでの
いろんな思いや、価値観を熱く語って下さった
お話の中で印象に残った事は関東や関西などの大都会と
地方における旧車バイク事情の温度差を感じるという事
それは山陽側と、山陰側でも違いがあるとおっしゃってた
もう一つ印象深かった話に「本物の旧車バイク好き」と、昨今の
旧車ブームに乗った「俄か旧車バイク好き」との差を痛切に感じるともおっしゃってた
古い乗り物を所有するには、古い乗り物を理解する事が絶対条件だと言われてた
「バイクって乗り物は自分の股の下でガチャガチャ言うとるんじゃから
音を聞いて異変に気付かんようじゃダメですよ・・・」
って言われてた
古い工業製品は必ず故障するし、現行車のように簡単ではない
修理やレストアで預かっても、場合によっては1年や2年かかる事もある
預かった車両は責任を持って仕上げるという事にポリシーを持っていると言われてた
手塩にかけて仕上げた車両をオーナーに引き渡す時は
娘を嫁に出すような気持になるとも言われてた
そんな車両が数年で朽ちてる姿を見たら
やりきれない気持ちになるとも言われてた
それは銭金の問題じゃないとも言われてた
その辺りが古い乗り物を理解してない銭金に物を言わした
昨今のブームに乗った俄か旧車好きという事だろう
だからフラット商会さんでは「客を選ぶ」と言われてた
昔は国産車を主に手掛けてた時代もあったと言われてた
カツジのW1を仕上げたのも、その頃の事なんだろう
しかしここ10年くらいで国産旧車は大ブームになり
人気車のカワサキや、ホンダは扱うショップが急増した
ならばと、現在は主にヴィンテージのBMWや
サイドカーを中心に扱っておられるようだ
長石氏が言われた事は個人的にはいちいち腑に落ちる事ばかりだった
しかし考えてみれば前日見たミニジャックというイベントも圧倒的に中年層が多かった
昨今の若者は乗り物離れが叫ばれ、バイクや車に興味がない人が多いと聞く
旧車と言われる乗り物は今後ますます古くなるし
玉数も減る事はあっても物理的に増える事はない
しかも今はブームという事もあり2輪も、4輪も値段が信じられないくらい高騰してる
いったいこのブームは何時まで続き、どんな形で結末を迎えるんだろうか?
僕もバイクに乗れるのも年齢的にも長くても15年くらいだろう
ま、それまで健康であればという条件付きですけどね
僕らの世代がバイクを降りる時が来たら間違いなくブームは終焉するでしょうね
と、いう事で僕たちは帰路に就くために広島方面に向けて走り出したのだった
ジャンジャン!!