ティーンエイジの頃擦り切れるほど聴いたロックンロールバンド「CAROL」と「COOLS」
その二つのバンドの名前を掛け合わせて僕が作った「CAROOLS」という造語
そんなCAROOLSの70年代の楽曲にスポットを当て当時の世相やグループやメンバーのエピソード
僕の思春期の思い出等を書き記そうというシリーズ「CAROOLS 70’s」
シリーズを振り返ってみると前回(6)は今年2月20日に記事にした
キャロル初のライブアルバム「ライブ・イン ”リブ・ヤング”」を取り上げた
クールスとしては昨年11月14日に舘さんが抜けた後のアルバム「COOLS ROCKABULLY CLUBU」を
取り上げたが、これはクールスを招いて僕達「呉オールドモータースクラブ」が開催した
ライブに基づく物で時代性としては順番抜かしをしたものだった
と、言う事で今回は時代を従来に戻し1976年11月にキングレコードからリリースされた
クールス3枚目のアルバムで初のライブアルバムになった「クールス・ライブ東京直撃」の
アルバムや当時の世相、メンバーのエピソードを取り上げてみたいと思います
クールス・ライブ 東京直撃 1976・11・21 キングレコード
SaidーA 1・シックスティーン・キャンドル 2・シンデレラ 3・アイ・ニード・ユア・ラヴ・トゥナイト
4・ペパーミント・ツイスト 5・スプリッシュ・スプラッシュ 6・リトル・ダーリン
7・ランナウェイ 8・セイ・ママ 9・ルイジアナ・ママ 10・ジョニー・ビー・グッド
SaidーB 1・ロング・トール・サリー 2・ジェニ・ジェニ 3・サマー・レディー
4・紫のハイウェイ 5・彼女はダイナマイト 6・ロックン・ロール・タイム
7・あの娘はステディー・ガール 8・バースデイ 9・恋のテディーボーイ
東京の郵便貯金会館で行われたCOOLSのライブを大木トオル氏がプロでユースした
「東京直撃」だが挿入曲のラインナップを見るとA面はシンデレラ以外はオールディーズナンバーのコピーで
B面が全9曲のうち、クールスオリジナルが7曲という構成になっている
実際のライブでは他にどんな曲が演奏されたのかはわかりませんが
この時点でクールスはデビューアルバム「黒のロックンロール」とセカンドアルバム
「ロックンロール・エンジェルス」の2枚しかアルバムをリリースしていなかった
てか、最終的にはリーダー舘ひろし氏在籍時のスタジオ録音でのアルバムは
ベスト盤を除けば、この2枚で終わっちゃうんですよね
CAROOLS 70’の(4)ロックンロール・エンジェルスで書きましたが
もうこの時点で舘ひろし氏とクールスのメンバーとの間で溝が出来ていた
CAROOLS 70’(4)ロックンロール・エンジェルスの記事
溝の本当の理由は僕にはわかりませんが、それを紐解くにはクールス関連の著書や
メンバーそれぞれのインタビュー記事、メンバー発進のブログで読む事しか出来ない
しかし皆さんが語ってる事はバラバラで真意の程はわからない
まあ僕がいつも言うように誰が嘘をついているという事じゃなく立場が違えば見解も違うし
時が経てば更に立場や環境も変わり正直に言えない事も出て来るのは仕方ないのかも知れません
ライブアルバム「東京直撃」は1976年11月のリリースだが、それに先立つ同年7月21日に
クールスはセカンドアルバム「ロックンロール・エンジェルス」をリリースしている
更にそれに先立つ事同年7月1日には初の映画出演となる「暴力教室」が公開されている
この映画は当時「太陽にほえろ」や「俺たちの勲章」で人気俳優になってた松田優作さんが
先生役で主演し、不良高校生役としてクールス全員が出演した作品だ
映画「暴力教室」出演に関しては現クールスリーダーの佐藤秀光さんが自伝記「ハングリー・ゴット」や
インタビュー記事でエピソードを語っておられる
やたら強そうだろ?これ
舘(喜多条仁役)も結構頑張ろうとするんだけど、その中で一番強いのは誰だ?ってなって
最後の切り札で、俺(秀光氏)が出るわけよ
俺と松田優作(溝口勝利役)が映画の中で喧嘩すんだよ
で、その俺がかなわないんだっていうことになると松田優作っていうのは何者だ?っていうことになって
実は元ボクサーだったっていうストーリー・・・ (佐藤秀光氏インタビュー記事より)
クールスのメンバーにとって初めての映画出演だったが
どうしても俺(秀光氏)は演技ってものに本気になれなかった
松田優作とタイマンを張るシーンが用意されていて新人としては破格の待遇で招かれていながらも
どこか真剣になれない自分がいた
俺はミュージシャンでドラムの演奏が本業で役者はあくまで余技
そんなふうに考えていたんだ・・・ (ハングリーゴットより)
僕はもちろん暴力教室のDVDは持ってるし10回以上観たけど
映画の内容は70年代の邦画にありがちなクサさはあるが
この時代のクールスが最高にカッコいいと思う
舘さんのジャックナイフのようなキレや
それに相反するような歯の浮くようなキザなセリフもサマになってる
マチャミさん事、玉川雅巳さんはご本人のイメージとは全然違うと思うが・・・ 笑!
暴力教室の撮影時期や撮影期間は僕にはわからないが僕の想像では
映画の話が来た段階では、まだメンバー内に「溝」はなかったように思う
しかし、この映画に出演した事が舘さんとメンバーに亀裂を生んだ原因の一つになったように思う
舘さんは松田優作さんに次ぐ準主役という位置付けで登場回数もセリフも多かった
だから他のメンバーとのギャラの格差もあったんじゃないかな~?
映画にも出演したクールスのベーシスト、大久保喜市さんは著書「ストレンジ・ブルー」の中でこう語っている
映画に出るのは俺は好きじゃなかった、一方、舘ひろしは役者として評判が良かった
初めての映画で主役に抜擢され全力で演技していた、バンドやってる時と気の入れ方が違った
それは完成した暴力教室を見た時に思った
でも俺は映画についてシリアスには考えていなかった
給料は五万円だけどケンタッキー・フライド・チキンでアルバイトしているよりはマシだ・・・
映画「暴力教室」で好評を得たクールスにまたしても映画出演の話が舞い込む
この時の事も大久保喜市氏はストレンジ・ブルーの中で語っている
「よう、聞いたかよ、映画の話」
「映画って?」
「男組だよ」
「何それ?」
「今度また映画やるらしいぜ」
ピッピが一冊の台本をテーブルの上に置いた
それが以前記事にした当時少年サンデーに連載されていた漫画「男組」を映画化した
「男組 少年刑務所」という作品だった
男組 少年刑務所の記事 http://blogs.yahoo.co.jp/prains237/11173689.html
「マンガの男組を映画化するんだってよ」
「主役は舘ひろしで俺たちは脇役だぜ」
「映画に出れば宣伝になるかも知れないけど映画なら何でもいいわけじゃないぜ」
「俺はロックンロールをやりたいからバンドをやってるんで役者になりたいわけじゃないしよ
暴力教室はバンドとして出てたからいいけど、この映画のクレジットを見て分かるように
主役は舘ひろしで俺らは引き立て役よ」
ピッピとジェームスは不満を一気にぶちまけた・・・
男組の撮影が終わって2回目のコンサート・ツアーが始まろうとしていた
男組はつまらない映画だった、結局ピッピとジェームスは出演を拒否して映画には出なかった
俺(喜市氏)は訳の分からぬ生徒会長の役で数カット出演したがカッタルイだけだった
並木橋にバイクを停めてスタジオに入った
ロビーのソファーにピッピとジェームスが座っていた
映画の撮影が終わってメンバーが集まるのは久しぶりだ
「男組どうだった?」 ジェームスが言った
「つまらない映画だったよ」
「ムラ、スキンヘッドにしたんだろ?」
「映画の役柄で剃ったんだ、本人は気に入ってないみたいだけど結構似合ってるぜ」
スキンヘッドにしたムラがロビーに入ってきた
ムラは何かを拒絶するように黙って椅子に座ってタバコに火をつけた
ピッピとジェームスがチラッとその姿を見たが黙って目をそらした
階段を下りてくる音がして舘ひろしがロビーに入ってきた
「ヨオッ!」と舘ひろしは久しぶりに会ったメンバーに元気よく声を掛けたが
誰も目を合わせることなく言葉だけが宙に浮いた
思いも寄らぬ反応に意表を突かれた舘ひろしは黙って隅の椅子に座ってタバコに火をつけた
シーンとした気まずい空気が流れた
メンバーそれぞれの胸の奥にあるわだかまりが空気の中に流れ出ているようでロビーは重く沈んだ・・・
喜市さんの著書を読むとやはり映画出演が亀裂の引き金になったように思う
メンバー7人の思いや考え方がバラバラになった・・・
てか、あまり深く考えていない人もいたのかも知れないが舘さんへの嫉妬や嫉みが
6対1の構図を作り上げたんじゃなかろうか?
しかし舘さんはもしかしたらクールスに良かれと思って映画に出てたのかも知れない
ピッピさんは自身のブログでは舘さん寄りの立場であった事を語っているし
遠藤夏樹さんの著書「原宿ブルー・スカイ・ヘブン」でもそう描かれている
真意の程は僕にはわからない、わかる事はクールスの史実だけだ
しかし一ファンの僕の立場で言えば誰が悪いという事ではないような気がする
こう言った事は世間でもよくある話だし益してバンドにもなれば当たり前のような話だと思う
こうして血判状にまで捺印したクールスの鉄の絆もひび割れて来た
次回は舘さんがクールス最後になるアルバム「ハロー・グッバイ」辺りに切れ込んでみようと思う
ま、いつの事になるかはわかりませんがね~ 笑!
今日の最後は映画「暴力教室」の挿入歌にもなった東京直撃収録曲の
「恋のテディーボーイ」をお届けして終わりにしようと思います! ジャンジャン!!
CAROOLS 70’ バックナンバー
恋のテディーボーイ/クールス 1975 作詞:大木トオル/たちひろし 作曲:大木トオル
赤い赤い バラを手もとに シャレたシャレた リボンでつつみ
いきな ダークスーツとブーツで そっとむかえに 行こうか
内気なお前の心を射止めた Oh Teddy Boy
二人陽気に Just Rock'n' Roll お前のママには 内緒だよ
月夜がじゃまして Don't you kiss me だれもいない木陰で Hold me tight
ふるえるこの胸 おさえきれずに Oh Teddy Boy No no no……………
今夜も甘い言葉を Once again 言ってみたくて I need you my darling
どうせさまには ならないけれど わかっておくれCan't you see, my baby
涙がほほにふれ 別れにむせぶよ Oh Teddy Boy No no no……………