僕は普段「昭和」というキーワードの記事を書く事が多いんですが
「平成」という時代の最大の産物であるSNSの恩恵を強く感じる事があります
SNSの恩恵というのは言うまでもない「情報」です
昨年、昭和の呉を舞台にした映画の事を記事にしたんですが
その時皆さんから頂くコメントで僕が知らなかった
呉を舞台にした二つの作品の事をご教授いただいた
その一つが3月27日に記事にした1963年(昭和38年)に公開された
モノクロ映画「嵐を呼ぶ十八人」という作品だった
そしてもう一つが今回ご紹介する1972年(昭和47年)公開の
山田洋次監督の「故郷」という作品だった
作品は嵐を呼ぶ十八人同様に音戸大橋の映像から始まる
映画「故郷」は瀬戸内海の小島である倉橋島の大向(おおこう)で
石の運搬をしている一家が工業化の波に押され島を出て
新天地で暮らすことを決断するまでを描いた作品
山田洋次監督の「家族(1970)」「遙かなる山の呼び声(1980)」と併せ
いわゆる民子三部作と言われる作品の第二弾という事だ
まあ正確に言うと1972年当時の倉橋町は
呉市ではなく安芸郡だったんですけどね(笑)
<監督・原作・脚本>
山田洋次
<キャスト>
倍賞千恵子・井川比佐志・笠智衆・前田吟・安部百合子
矢野宣・田島令子・渥美清・他
瀬戸内海の小島、倉橋島に住む石崎精一、民子の夫婦は
小さな古い砂利運搬船で石を運び、生計を立てていた
広島市の宇品へ出向き石を船に積み込み
倉橋に持ち帰り捨てるというのが仕事だ
いや~ 砂利運搬船の事を石船と言うそうだが
こんな小さな船で石を運んでたなんて知らなかったな~
てか、石崎汽船の水中翼船が懐かしいですな~!
石船の船長は井川比佐志さん演じる石崎精一
妻は機関長でもある倍賞千恵子さん演じる民子
二人の間には、千秋・まゆみ、という二人の娘がいる
しかし石崎家の船は老朽化が激しく船のエンジンの調子が悪い
更には荒れた海に出た日に船体も壊れてしまう
すでに耐用期間も過ぎた船体の修理には
精一にとっては多額の費用が必要であった
石崎家族に何かと世話を焼くのが魚の行商をしてる
渥美清さん演じる松下さん
いや~ フーテンの寅さんが呉に来てたのか
知らなかったな~ (笑)
妻の民子は怪我の見舞いを兼ね今後の事を相談するべく広島市に住む
精一の弟である、前田吟さん演じる石崎健次に会いに出かける
精一夫婦は今後の生活を悩む中、尾道にある鉄工所に誘われ
船を降りて故郷を捨てるかどうかを悩んでいた
う~ん ここは吉浦から天応に抜ける国道31号線だと思うが
見た感じでは47年前も今もあまり変わってないな~
弟の健次も兄精一と一緒に石船に乗っていたんだけど
船を降りて広島の工場で働きはじめたという設定
船を降りて広島の工場で働きはじめたという設定
まあ兄弟で同じ船に乗って働いてたらいい事もあるけど
大概には喧嘩になっちゃいますよね~
精一の父親は笠智衆さん演じる仙造
仙造も嘗ては石船に乗っていた
何も語らず息子の決断に委ねようとする仙造
いや~ 笠智さんの存在感は凄いね~!
今では殆ど見かけなくなった昭和の港町の船着き場の風景
僕が育った長浜も同じ田舎の港町だったから懐かしさを感じます
この辺りのシーンになると今まで代々継いできた運搬業を辞める事
年老いた父親を島に残す事や生まれ育った島を離れる事など
様々な思いが主人公の夫の頭を駆け巡り葛藤する気持ちが伝わってきますね
倉橋を走る旧呉市営のボンネットバス
先日記事にした呉の老舗仏壇店である
「佐々木仏壇店」の広告看板が確認出来ますね
船を降りて尾道の鉄工所に就職する決断をする精一
夫婦での最後の石船の仕事を終えます
見ている側も感慨深さを感じます
そして別れの日
日本は高度成長期から1973年のオイルショックを契機に
高度消費資本主義社会へと世界に類を見ない社会へと転換していく
高度消費資本主義社会へと世界に類を見ない社会へと転換していく
高度成長から消費社会、そしてバブルへと至る中で家族は大崩壊した
かつてはみんな楽しく暮らしていたのに賑やかだったあの頃は戻ってこない
仕事に対するプライドとは何なんだろうか?
瀬戸内海の島を離れる事はもう永遠に共同体の一員ではなくなることで切ない
そして生きて行く為の夫婦の最後の航海はどこまでも美しい・・・
いい映画でした! ジャンジャン!!
故郷 予告編 1972
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