日本海軍が誇った「間宮」という給糧艦をご存じだろうか？
大日本帝国呉海軍において最も認知されてる艦と言えばやはり戦艦大和になりますが
当時の呉港を母港にする艦艇の中で海軍将兵に最も愛され人気があった艦と言えば
間違いなく「間宮」という給糧艦になるそうです
間宮は大正12年度計画で建造された日本海軍初の本格的な糧食補給艦です
冷蔵、冷凍設備を備え、ステーキからアイスクリーム、羊羹まで作ることが出来る
世界でも有数の能力を誇る万能給糧艦でした
その艦名は、樺太の間宮海峡からとられたようです
大正１３年に就役してから、昭和１９年に被雷沈没するまで休む間もなく稼働し
海兵たちの胃袋を支え続けました
そのことから、最も海軍に貢献した艦とも言われています
日本全国各地の名店の職人を雇い入れて乗艦させ、うどんや豆腐などの故郷の味や
羊羹や大福、団子、アイスクリームなどの甘味、パンやラムネ等を製造し
海兵たちの胃袋と心を支え続けた給糧艦・間宮
間宮の艦内で製造された羊羹は当時海軍将兵達に
「間宮羊羹」と呼ばれ大変に好評であったそうです
戦地ではお菓子どころかまともな食べ物など口に出来ない程の食料不足でした
そんな所に、食料だけでなく甘いお菓子を届けてくれる船が来るのですから
皆大喜びで間宮を迎えました
皆大喜びで間宮を迎えました
写真は昭和１０年の間宮の羊羹室で間宮羊羹を作っている将兵です
特に間宮羊羹は絶品で、羊羹の有名老舗「とらや」を凌ぐほどで
「海軍主計兵調理術教科書（レシピ本）」にもレシピが載っていた
そのレシピ本は現存していて呉では間宮羊羹を再現して販売もされています
昭和１７～１８年に間宮主計長を務めた角本元海軍中佐の話によると
「とらやの羊羹より大きく作れ！」との命令が申し送られていたそうです
結果、当時の間宮で製造されていた羊羹は最低でも２ｋｇあったようです
そのサイズの羊羹を間宮では１日に２２００本製造できる能力があったそうです
まさに間宮は一大製菓工場だったのです
再現された間宮羊羹は砂糖も当時使っていたと考えられる上白糖が使用されています
一般の羊羹より多い砂糖の分量や、軍での厳しい勤務から恐ろしく甘く
濃厚なものと想像されますが、とても上品な甘さで現代の感覚でも大変美味です
当時非常に好まれ珍重されたとの逸話に頷けるものです
１９４４年（昭和１９年）、呉港から出撃した間宮は１２月２０日にサイゴンからマニラ方面に
菱食輸送に従事中に南シナ海においてアメリカの潜水艦シーライオンⅡに発見されます
シーライオンは魚雷６本を発射し、間宮は４本の命中を得てしまい航行不能となりました
シーライオンは日本海軍の護衛艦の反撃を回避し、次回攻撃の準備を行った
2時間半後観測すると、間宮は依然として海上に浮いていた
日付が変わって１２月２１日、シーライオンは間宮に向けて魚雷を３本発射
うち２本が命中し、間宮は沈没した
凍てつく海に投げ出された船員のほとんどが低体温症のため命を落とし
救助された間宮の船員も次々と命を落とした結果、生還できたのはわずか６人だった
呉市長迫町にある海軍墓地には、給糧艦 間宮の慰霊碑が建っている
呉観光に来られた方は是非、間宮羊羹をご賞味いただき
時間があれば海軍墓地参拝にも足を運んでくださいね！
ジャンジャン！！