僕の同世代の男にとって1978年に発行された永ちゃんの自伝書「成り上がり」は
人生において沢山の刺激を与えてもらった教科書であり、参考書でもあった
永ちゃんの少年時代や青年時代の超貧乏な苦労話に始まり伝説のバンド「キャロル」の
結成から解散までの秘話、そしてソロミュージシャン矢沢永吉として成功する
文字通りロック界のスーパースターへの成りあがりの過程が書かれているベストセラーだ
その「成り上がり」がコミック漫画になったのは1993年の事だった
しかし、1993年に発刊されたコミック版「成りあがり」のストーリーは原作の時系列に沿って
忠実に描かれており、原作の細かいセリフの言い回しや解説についても漫画でありながら
相当細部まで再現されてはいる物の絵のタッチがギャグ漫画風だったんですよね
本来自伝漫画、しかもあのスーパースター矢沢永吉がモデルといえば多少なりとも美化し
脚色されて描かれてもよさそうなものですが、この作品は完全にその真逆を行っていた
僕は恥ずかしながら「コミックチャージ」という雑誌の存在自体知らなかったのですが
どうやら角川書店が2007年~2009年にかけて発刊していた青年漫画雑誌「コミックチャージ」
誌上において二度目の漫画版「成り上がり」が矢沢永吉物語として連載されてたみたいだ
いや~ 知らなかったな~! 笑!
と、いう事でコミック全3巻を入手して、さっそく読んでみたのですが確かにタイトルは
「成り上がり 矢沢永吉物語」なのだが何と漫画の主人公は永ちゃんではなく
どこの誰だかよくわからない「内田忠志」なる、仕事に疲れたサラリーマンなのです
向いていない営業職という仕事をしながら夢中になれるものもなく退屈な毎日を過ごしている
日本中のどこにでもいるような無気力で平凡なサラリーマン「内田忠志」29歳
忠志の父・平太は熱狂的な永ちゃんファンであり、忠志は子どもの頃から平太に
永ちゃんのコンサートに連れて行ってもらっていた
しかし忠志が思春期、反抗期となりだんだん親子は疎遠になってしまい
大人になってからはすっかり話さなくなってしまっていました
そんなある日、親父が死んだ・・・
しかし忠志は涙さえ出なかった
遺品には生前、父がファンだった永ちゃんグッズが山のようにあった
その中の一つに永ちゃんの自伝書「成り上がり」があった
で、忠志が父の遺した「成りあがり」を読み進めるのに合わせて本来の永ちゃんの
「成りあがり」のシーンがマンガで描かれていくという構成で物語は進んでいきます
忠志は遺品の中にあった1本のビデオテープを再生する
映し出されたのは、躍動する若き日の矢沢永吉と観客の中にあった若き日の親父の姿
その時、親父が死んでもまったく出なかった涙が忠志の目から溢れ出す・・・
その時、親父が死んでもまったく出なかった涙が忠志の目から溢れ出す・・・
更に親父は、矢沢永吉に影響されて「裏 成りあがり」という自伝書まで書き残していた
千江、そしてもうすぐ生まれる子供に贈る・・・
そこには忠志の知らない、一人の男としての親父の姿があった
う~ん、「成り上がり 矢沢永吉物語」を読み終えて僕は忠志の親父に自分の姿を重ねた
忠志は29歳という設定だからウチの息子たちと同世代という事だし
そうなると忠志の親父さんもコミック上では本来なら10歳くらい上なのだが
僕と同世代だと解釈できる
この漫画は1993年の時のコミック漫画「成り上がり」のような
単に自伝書「成り上がり」の漫画化ではない
矢沢永吉の人生に、永ちゃんに影響を受けたファンの姿を重ねて描く事で
矢沢永吉物語であると同時に今の時代を生きる若者と
僕のような親父にも人生の親子物語がある事を語りかけているように思う
おそらく青春時代に永ちゃんに影響を受けた
日本全国の男には沁みるんじゃなかろうか?
僕に「その日」が来た時、息子たちは僕という存在をリスペクトしてくれてるのだろうか?
でもそれは僕が彼らに「リスペクトしてね!」って頼むものでも、お願いする事でもないし
更にはリスペクトされようと意識する物でもないとも思う
まあ僕も僕の「裏 成り上がり」は一応執筆していますがね~
えっ?用意周到だって?
その僕の「裏 成り上がり」は、このプレインズのブログですよ!
まあ決して僕は成り上がってはいませんから
ある意味反面教師教材かも知れませんがね! 笑! ジャンジャン!!